公開日 2019年10月01日
釜石市の下水道事業
釜石市では昭和32年度より下水道事業が開始され、平成30年度末で処理区面積549.73ha総延長148.33kmの下水道が整備されました。処理区域内人口は20,557人で、市民の61.5%の人達が下水道に接続できるようになっておりますが、中妻地区の一部において、公共下水道の整備方法として合流式を採用しております。
合流式下水道とは?
下水道は、下水の排除方式により合流式下水道と分流式下水道とに分類されます。早くから下水道の普及に取組んできた都市では、整備効率の観点から汚水と雨水を同一の管渠で排除する合流式下水道を採用し、公衆衛生の向上と浸水防除を同時に行うことを目的に整備が進められてきました経緯があります。
全国191の都市で採用されており、県内では盛岡市と釜石市の2都市のみです。釜石市の下水道は、昭和32年に事業着手されましたが、昭和40年代に整備された中妻地区(中妻町、千鳥町周辺)の市街地37.5haが合流式下水道の区域です。
それ以外の下水道整備区域は、汚水(家庭・事業所等の雑排水)と雨水を別々に排除する分流式下水道で整備されています。
合流式下水道と分流式下水道の違い
・合流式下水道(汚水と雨水を同じ下水管きょで集める方式)
「合流式下水道」とは汚水と雨水を同一の管路で排除する方式です。 早期に下水道事業に取り組んできた都市において、主に昭和40年代に採用されました。
『下水道事業団のイラスト(合流)』
メリット
①雨水の防除と水洗化の普及促進を同時に進めることができます。
②管路の整備が一本で済むため分流式に比べ施工が容易で安価な整備が可能です。
デメリット
①一定量以上の降雨時に未処理の下水が雨水とともに公共用水域へ放流されるという弱点があります。
・分流式下水道(汚水と雨水を別々の下水道管きょで集める方式)
雨水と家庭からの汚水を、別々の管路で下水処理場まで送る方式を「分流式下水道」といい雨水は処理せずに川や海に流すことができ、汚水のみを下水処理場で処理します。
『下水道事業団のイラスト(分流)』
メリット
①一定量以上の降雨時にも未処理の下水が公共用水域へ放流されない。
デメリット
①汚水管と雨水管を別々に整備する必要があり、合流式比べ建設費が割高で下水道の普及に時間を必要とする。
合流式下水道の改善が必要な理由とは?
合流式下水道は、雨天時に一定量以上の降水量となると雨で薄まった未処理下水の一部が公共用水域(河川)に流出するため、水質保全上並びに公衆衛生上において極めて問題となっています。
平成12年9月に、東京湾のお台場海浜公園に合流式下水道から流出したとみられる白色固形物(通称:オイルボール)漂着したことがマスコミ報道され大きな社会問題となり、合流式下水道の問題が顕在化しました。これを受けて、国土交通省は平成14年に「合流式下水道緊急改善事業」を創設し、平成15年に下水道法施行令を改正し、平成25年度までの合流式下水道の緊急改善が義務付けられました。
釜石市の合流式下水道改善計画
釜石市におきましては、合流改善の対策実施にあたり、長期的な改善目標を踏まえつつ、水質・水量のモニタリング及びシミュレーション等により対策の検討を行い概ね10年以内に行うべき当面の改善目標として「釜石市合流式下水道緊急改善計画」を策定し、平成15年度から各種の対策を進めてきました。
しかし、東日本大震災の影響を受け、平成25年度に事業期間の延伸を行いました。
平成29年度に簡易処理高度化施設の竣工をもって、合流式下水道改善対策事業は完了しました。
合流式下水道緊急改善事業の評価
平成28年度には本事業の目標達成状況などの事業効果に関する中間評価を実施し、当時建設中であった簡易処理高度化施設の整備が完了次第、改善目標を達成できることを確認しました。
また、平成29年度の事業完了に伴い、平成30年度、令和元年度に対策施設の整備効果の発現状況等の確認のため、水質調査及び検討を行い、事後評価を実施しました。
なお、学識経験者等の第三者からなるアドバイザー会議「釜石市公共下水道・中妻地区合流式下水道改善事業評価委員会」を開催し、本事業に関する意見聴取を行いましたので、その結果を公表いたします。
令和元年に実施した雨天時水質調査、及び直近の実績降雨を用いた下水道法施行令基準値の達成状況を検証、合流改善対策による基準達成を確認できました。
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