炉底滓【ろていさい】 郷土資料館に、新たな資料が入りました。
橋野高炉跡より発見された炉底滓(ろていさい)です。
円柱形で半径0.4m、高さ0.7m。重さは約2トンもあります!
炉底滓とは、洋式高炉の底に溜まった滓(かす)のことです。
「製鉄」を簡単に説明すると、高温の炉に鉄鉱石と炭などを一緒に入れ、純度の高い鉄と鉄滓(てっさい)にわけることをいいます。炭を一緒に入れるのは鉄鉱石から余分なものをとりのぞく「還元(かんげん)」という化学反応を起こすためです。
橋野高炉跡にあった洋式高炉の場合、1400℃もの高温になった炉の上部から鉄鉱石と木炭を1:2の割合で投入しました。鉄鉱石と木炭は高炉の下のほうへゆっくりと落ちていく途中で銑鉄(せんてつ)と鉄滓とにわかれます。
のちに銑鉄は高炉の外に出されますが、底には鉄滓が残ってしまいます。たまった鉄滓がフイゴの羽口をふさいでしまうため、洋式高炉の操業期間は通常30〜50日ほどであったそうです。操業が終わると高炉から炉底滓をとりだし、耐火煉瓦を張り替えるなどの補修を行ないますが、この修繕には約30日もかかったそうです。
高炉から銑鉄を取り出す。
【県指定文化財・紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図より】
今回資料館へ運ばれてきた炉底滓は、橋野高炉跡・2番高炉跡近くにあったものです。
当時の製鉄技術がどのようなものであったのかを調べるため、22年9月に切断されサンプルがとられています。
これまで炉底滓は鉄滓であると考えられてきましたが、たしかに表面は炉底滓によって覆われていますが、中は完全な鉄であったということです。
※橋野高炉跡範囲内容確認の一環として行なわれたものです。
炉底滓は22年9月末に資料館にやってきました。
2トンもの重さがあるため、重機を使って運び入れを行いました。
炉底滓はかまいしの歴史コーナーの橋野高炉跡の模型近くに設置しております。
ぜひ実際にご覧になってみてください